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特集 バス路線一部廃止地域の「足」確保のために

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 最近、バスを利用したことがあるだろうか。生活・交通体系等の変化により利用者は年々減少、乗客のいないバスを見かけることも少なくない。
 今年3月、羽後交通よりバス路線の一部廃止の申出があった。利用者の減少、赤字路線の増加、車を運転きない高齢者、運転できなくなったときの交通手段。さまざまな問題を抱える中でのバス路線一部廃止。
 地域の「足」確保へー 
 急がれるその取り組みを考える。

 廃止の申出があったのは4区間。羽後交通はこれまで路線維持のため、人件費の削減・管理部門の縮小等経費削減に取り組んできたが、少子高齢化・マイカー普及等の影響で年々利用者が減少し、加えて原油価格高騰により経営が厳しくなり廃止を決定。
 この申出は、国土交通大臣への「事前届出制」になっており、バス事業者が廃止予定日の6カ月前に届出すれば路線廃止が可能となる。仮に町が廃止を受け入れない旨の回答をしても、法的には事業者の判断に委ねられることから、来年4月からの廃止は避けられない見通しとなった。
 これを受け、町では各地区で廃止に関する説明会を開催し、意見を聴くとともに、各地区代表や関係機関で構成する「地域公共交通会議」を設置。路線廃止地域の生活交通のあり方について検討・協議を始めた。

 

 

【バス路線一部廃止申出の内容(平成20年3月末で廃止)】

路線名 起点 終点 廃止区間 継続運行区間
仙道線 湯沢営業所 上桧山 久保〜上桧山 湯沢営業所〜久保
田代線 湯沢営業所 上到米 元西小学校〜上到米 湯沢営業所〜元西小学校
軽井沢線 湯沢営業所 軽井沢 元西小学校〜軽井沢 湯沢営業所〜元西小学校
新成線 湯沢営業所 大沢上丁 かがり火広場〜大沢上丁 湯沢営業所〜かがり火広場

これまでの経緯
3.28 羽後交通より、バス路線の一部廃止の申出
4.25 羽後交通が来庁し、経営ならびに運行の現状と見通しについて町に報告
5. 8  廃止区間が共通する横手・湯沢両市と連絡調整会議
5.23 羽後交通本社を訪問し、「路線存続要望書」を提出(横手・湯沢両市長、羽後町長三者の連名)
6.5  羽後交通から要望書への回答(要望には、応えられない旨の内容)
6.11 6月定例議会へ町内の交通手段を検討するための機関(羽後町地域公共交通会議)設置に要する補正予算(案)の提出
6.21 上記補正予算(案)可決
6.28〜7.4 各地区説明会開催
7.12 第1回羽後町地域公共交通会議の開催

路線バスの現状
・路線バス利用者実態調査〈一便当り平均利用者数〉
 第1回 平成16年6月29日〜7月5日(延べ7日間)始発からの全便(253便)に町職員(延べ42人) が調査に従事
 第2回 平成19年3月11日〜3月20日(10日間)羽後交通湯沢営業所による全便の自主調査
 第3回 平成19年5月12日〜5月18日(7日間)湯沢市・羽後町からの合同依頼による羽後交通湯沢営業所による全便調査
 *計算方法:一週間の利用者数/一週間の便数

1.仙道線(上桧山〜湯沢営業所間)1日往復9便(単位:人)

  第1回
H16.6
第2回
H19.3
第3回
H19.5
上桧山〜久保*
0.3
0.4
0.1
仙道沢〜元西小前
0.8
0.7
0.3
元城上〜西小前
1.8
0.5
0.4
北都銀行前〜湯沢営業所
2.4
1.1
2.8

2.田代線(上到米〜湯沢営業所間)1日往復8便(単位:人)
  第1回
H16.6
第2回
H19.3
第3回
H19.5
上到米〜田代*
0.8
0.9
0.5
明通〜元西小前*
0.7
1.2
0.8
元城上〜西小前
2.0
0.7
0.7
北都銀行前〜湯沢営業所
4.4
1.9
4.8
*赤袴経由雄勝中央病院行き往復2便を含む

3.軽井沢線(軽井沢〜湯沢営業所間)1日往復6便(単位:人)
  第1回
H16.6
第2回
H19.3
第3回
H19.5
軽井沢〜梨の木峠*
0.6
0.4
0.4
明通山〜元西小前*
0.7
0.9
0.5
元城上〜西小前
1.6
0.7
0.7
北都銀行前〜湯沢営業所
2.3
0.1
3.7

4.大沢線(大沢〜湯沢営業所間)1日往復10便(単位:人)
  第1回
H16.6
第2回
H19.3
第3回
H19.5
大沢上丁〜長谷灯橋 0.5 0.1 0.1
下鵜巣〜小山 1.9 1.4 0.6
五輪坂〜寺町 0.1 0.4 0.1
かがり火〜湯沢営業所 8.1 1.4 3.5


◎*印が路線一部廃止申出区間


各地区説明会の意見 利用者の声
 6月28日〜7月4日まで町内7地区で廃止に関する説明会が行われた。田代地区を除き、各地区数人の参加者と、関心の低さがうかがえる。一方、参加者からは活発な意見が出された。

西馬音内地区
※デマンド等の方法で、お客さんのニーズに応えた乗りやすい工夫が必要。デマンド等を行うにしても、バス路線があると迂回したり、部分的に途切れたりと非効率になる。全町的なシステムが必要。
※高齢者・車のない人への配慮もしてほしい。タクシーの補助などもあると思うが、財政的な課題もあるだろう。病院バス・スクールバスなどを有効利用し、経費削減に努め、長続きする代替の方法を考えてほしい。
※病院バス・としとらんど送迎バスもあるし、タクシーも相乗りすると安い。現状の乗客数だと、デマンドでも営業係数が悪く採算が取れないと思う。

三輪地区
※これから増える高齢者へ対する対策を考えるべきだ。他市町村では、事前に申し込みすればタクシーが運行する仕組みがあるようだが、とても効率がいいと思う。

新成地区
※一人暮らし、交通手段のない人、病気の人などに対しては対策が必要。現在も社協では許可を取って、福祉移送サービスなどを実施している。これからは、もっとPRをして町の施策と関連付けていけばいいのでは。
※役場のバス等を利用しながら、対応したらいいのではないか。
※今まで乗っている人に対する代替をしっかりとしてほしい。

明治地区
※デマンド方式が良いのでは。実際に行っている市町村を視察しては。
※バス・タクシー・行政が連携して戸口から戸口まで予約をとって必要とする人を輸送する仕組みづくりが必要ではないのか。行政の公用車も十分活用の余地がある。

元西地区
※対象者を限定して、バス賃相当額の応分の負担を求めて運行する方法を考えないと、仕組みとして維持できないので、しっかりと説明して理解を求めていくべきだ。
※対象者を限定した、有償ボランティアの車両を用意して、その自己負担分に町が一部助成する仕組みが考えられないか。
※交通会議には、各地区代表が委員になるが、各地区からさまざまな角度や地域事情を踏まえた意見やアイデアを出してもらって、その一つ一つの問題点を浮き彫りにさせて、より効果的で効率的な案になるよう、努力してほしい。

田代地区
※どうしても田代地区に一本の幹線は残して欲しい。
※路線変更ができるなら、田代の中心部から仙道経由・西馬音内という形で残してほしい。また、これからの高齢化社会の到来に備えた施策も必要。
※必要な人が申し込むようなシステムが一番効率がよい。町内のネットワークを構築し、新しいサービスを考えてもいい。
※バスの運行経路には、代替ができないというのなら、仙道線についても考える必要がある。全町のネットワーク構築に支障を来すおそれがある。
※代替運行を考えるにも、現在運行している経路程度でいいのでは。新たなルートを考えると大変になる。

仙道地区
※資料を見ると仙道地区の乗車状況がいいというわけではなく、いずれ廃止の時期が来ると思われる。空バスを走らせる必要はなく、全町的な代替措置を考えた方がいい。
※今までの運行だけでなく、もっと人の集まる場所(温泉施設・買い物など)への運行も考えては。

用語解説
デマンド方式:利用者の需要に応じて路線や運行ダイヤ・停留所を柔軟に変更できる。バスとタクシーの中間に位置する方式。

三輪地区利用者
 バス路線の廃線となる地域の人たちが心配だ。日中は三輪でもほとんど乗っている人がいない。帰りの時間がちょうど良いバスがなく、何十分も待たなければいけないのでなんとかしてほしい。

田代地区利用者
 私は車を運転できないので、バスで病院に行っている。タクシーだと4千円もかかり大変な負担だ。バスの存続をお願いしたい。無くなった場合でも、代わりの交通機関はどうしても必要だ。


地域公共交通会議
 地域公共交通会議とは、地域における需要に応じた住民生活に必要なバス等の旅客輸送の確保その他旅客の利便の増進を図り、地域の実情に即した輸送サービスの実現に必要となる事項を協議するため設置される組織で
1.地域の事情に応じた適切な乗合旅客 運送の態様および運賃・料金等に関 する事項
2.町運営有償運送の必要性および旅客 から収受する対価に関する事項
3.交通会議の運営方法その他交通会議 が必要と認める事項
が協議する。
 交通会議は町・事業者・町民の代表・運輸局・道路管理者・警察で構成され、一回目が7月12日に開催、二回目が8月下旬、3回目が11月下旬に開催される予定で、バス路線一部廃止後の地域交通のあり方について協議される。
 7月12日に行われた交通会議では、事務局から各委員に会議の設置目的と今後の進め方、バス路線一部廃止についての説明等がされた。その後、委員から次のような質疑がなされた。

Q廃止後の代替交通は、どのような方式で対応するのか、今現在での考えがあれば、教えて欲しい。
A代替交通は、他の例を見ると巡回バス方式、デマンド方式、タクシー補助、スクールバス利用、廃止地区に町中心地までバスを運行するハブ方式等がある。どのような方式が有効なのかは、この会議で検討してほしい。

Q代替は、定期路線運行かそれとも不定期路線運行か。どの程度の予算を見込んでいるのか。
A利用者数からみると不定期路線運行が理想的。昨年羽後交通への補助金は、県分と併せて2,200万程。町単独分は国の補填分を差し引くと、380万程。少ない予算で、効率的でバス利用者が不便を感じないような方法を探っていきたい。

Q病院バス・としとらんどバス等を利用した巡回バス等、柔軟性ある運用を検討すべきでは。
A町が巡回バスを運行するのは、乗車数が少ない地域は、難しい。また、予算的な問題、存続路線バスの運行の問題等課題があり相当難しい。

Q町で購入した車両自体を民間会社に運行、運用を委託して、自家用車ではない運送事業の仕組みの中に組み入れる考えは。
Aそこまでは検討していない。町にはスクールバスを含めて十数台のバスを保有している、しかし、学校は各地域に点在しているし、基本的に、一定の目的で購入したものを、その目的を阻害しない形で利便性良く利用するとなれば、難しい点がある。

一回目の交通会議での意見、提言は、次回の交通会議に向けて整理し、どのような交通体系が望まれるか次回協議いただく。会議では、大方の意見は「申出があった四路線の一部廃止は、利用状況からみて止む得ないのでは」という結論であった。廃止後の代替交通手段をどのようにして構築していくかという点についても、さまざまな角度からの議論、提言がなされた。今回の提言等を参考にし、次回の交通会議に向けて町の方針等が検討される。

羽後町地域公共交通会議委員

  区 分 所属・団体名等 氏 名 備 考
1 行政 羽後町 佐藤 孝治 副町長
2 一般乗合旅客自動車運送事業者 羽後交通株式会社 齋藤 善一 取締役社長
3 一般貸切(乗用)旅客自動車運送事業者 有限会社藤観光 藤原 金一 専務取締役
4 マルトタクシー株式会社 佐藤 義彦 専務取締役
5 住民または利用者の代表 西馬音内地区代表 高橋 秀夫 町部振興会長
6 三輪地区代表 大野 耕作 地区振興会長
7 新成地区代表 佐藤 武三 社協新成支会長
8 明治地区代表 伊藤 洋一 地区振興会長
9 元西地区代表 長谷山 英雄 堀回コミュニティ会長
10 田代地区代表 菅原 静男 田代地区振興会長
11 仙道地区代表 土田 房美 地区振興会長
12 福祉団体代表 佐々木 尚敏 社協事務局長
13 羽後高校PTA代表 佐藤 良友 会長
14 東北運輸局秋田支局長またはその指名する者 秋田運輸支局 佐藤 幸彦 首席運輸企画専門官
15 道路管理者 国土交通省湯沢河川国道事務所 高橋 弘典 調査第二課長
16 雄勝地域振興局建設部 大野 公夫 建設部次長
17 湯沢警察署 交通課 高橋 正幸 課長

 

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