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特集 環境保全 水をきれいに

特集 環境保全 水をきれいに むかし、わらしたちは「しぇげ」で遊び おとなは洗濯をした!
 人類は自ら発生させた二酸化炭素で「空気」を汚し、オゾン層を破壊した。結果「温暖化」「洪水」「砂漠化」など異常気象現象が多発し、人々は世界規模でその対策に取り組み始めている。
 また、空気に次ぐ人類の大切な資源が「水」。首都圏ではかつて「どぶ川」と形容された河川に魚が戻り、水質が大幅に改善されているという。充実した浄化システムが機能している結果だろうか。
 写真は50年前の羽後町。民家と道路の間や裏の畑などには必ず「しぇげ」があり、その水は田んぼや畑に使うだけではなく、こどもたちは魚を捕り水遊びに興じ、大人は屋根を葺く杉皮を浸したり農具を洗ったり洗濯をしたり、大切な生活の水でもあった。
 時代が進み、川や水路の役割は「治水」や「利水」という考えに変わり、今では水に親しむことが遠い昔の話になってしまったような気がする。
自然に恵まれた羽後町の水環境はどうだろうか。7月7日は水の日、水に関わる様々な取材を通じ水資源保全の大切さを考える。

釣り人に聴く
町を流れる川の現状や水質はどうなっているだろうか。昔の川はいったいどんな清流だったのか。長年、川に親しんできた二人の釣り人にお話をうかがった。
佐藤惣吉さん(橋場下)
天ぷら油がそのまま流れてくるそれを栄養にまるまる太った鯉が釣れる。
佐藤惣吉さん(橋場下)
 佐藤さんは、今年で80歳になる無類の釣り愛好家。自宅には釣り竿や釣り道具がいっぱいかざってある。毎日のように愛用の自転車で釣りに出かける。釣りは小さい頃から好きで、かつては雄物川上流漁業協同組合の役員を勤めた経験もある。
 昔の西馬音内川の様子をうかがった。
「昔の川原田橋の尻にはものすごく深い場所があって、そこには水面が真っ黒になるくらいの鯉が泳いでいたし、ヤマメなど清流で暮らす魚もいっぱいいた。今から比べれば想像できないくらいきれいな川だった。」
 川が汚れ始めたのは?
「川が汚れてきたのは20年ほど前からかな。河川護岸の工事が始まり川底を平らにしたことが影響したのではと思っている。水が滞留するところがなくなり、魚の生息場所が少なくなったためだ。」と答えが返ってきた。
 今の西馬音内川の水質は少し改善されたと聞いているが?
「いやあ改善なんか全然していない。護岸のあちこちにある排水口から、民家の台所や飲食店で使う天ぷら油がそのまま流れ込んだり、水路の先に畜舎などがある排水口付近では、ものすごい臭いがして水が真っ黒に変色している。けっしてきれいなどとは言えない。これだけ川に栄養が流れ込むものだから、それを食べた鯉フナなどは丸々と太った状態で釣れてくる。」と話してくれた。
最後に「人のやることはわがままで、水を本当にきれいにしようとする人は何人いるのか!」と嘆いていた。

今平統一さん(中泊)
平気でゴミ捨てる人がいる昔はカマス袋いっぱいにナマズが捕れた。
今平統一さん(中泊)
今平さん(写真左)は、自宅のすぐ裏の石沢川で魚釣りをする。春先まだ雪が消えないうちから釣りを始めるそうだ。この日は埼玉県川口市の親戚 佐藤増二郎さん(写真右)と一緒に釣りを楽しんでいた。
昔の石沢川はどうだったのでしょう?
「小さい頃、今のように堤防などなく、深みのあるところで水あぶり(水泳ぎ)をしたものだ。石沢川はもともと水量が少なく大きな川ではなかったが、水は今とは比べものにならないくらいきれいだった。農業排水路が流れ込むところにはナマズが集まり、カマス袋いっぱいに捕ったことがある。」
今の川についてどう思いますか?
「ゴミを捨てる人が多くて困ったものだ。川はゴミ捨て場だと思ってる人がいる。釣りをしているとよくわかる。また、堰堤があって魚が行き来できないでいる。この川も堰堤でせき止められているから、ここは池みたいなものでどんな大きさの鯉が何匹いるかみんなわかる。でも、わかっていてもなかなか釣り上げれない。難しいもんだ!水質はいつも濁っているよ。」 

川の様子を熟知している釣り人の話を聞くと、川は「ゴミ捨て場」「生活排水の捨て場」と考えている人がまだ多く、環境に対するモラルの低さが感じられる。

河川環境は今
全国的に水質が改善している
  河川水質の善し悪しの指標としてBOD(生物化学的酸素要求量)値が使われる。
 全国の一級河川を管理する国土交通省は、毎年109水系(162河川)を対象に水質調査を行い、毎年水質現況を公表している。その結果、平成17年は「全国88%の調査地点で環境基準を満足。3年連続で過去最高の割合を維持。」と発表、全国的に水質が改善されていることを公表した。

雄物川は河川ランキング全国98位

 また、「平均水質河川ランキング」で雄物川は全国98位(162河川中)に位置し、下位に属するが、平成15年の106位から順位がアップ、水質改善が進んでいると公表された。ちなみに県内ほかの一級河川の順位は、玉川が26位、子吉川・米代川が83位となっている。

西馬音内川は環境基準に不適合
 町でも毎年雄物川の支流である西馬音内川・大戸川・新町川、そして子吉川の支流である石沢川に3カ所、合計6地点で水質検査を実施、水質の汚濁状況を監視している。
昨年の調査で、西馬音内川はBOD値2.5mg/リットルと環境基準である数値(2.0mg/リットル以下)を上回り、水質改善が図られていない結果が出た。
過去5年間のBOD値を平均しても西馬音内川は2.2mg/リットルと数値が高く、大戸川が1.9mg/リットルと続いている。また、西馬音内・大戸・新町の3河川は大腸菌の数値が異常に高く、特に西馬音内川は環境基準の数十倍の数値を示している。
羽後町の川は、見た目以上に汚染されていることがわかる。

BOD(生物科学的酸素要求量)過去10年間の推移(mg/リットル)
河川名 9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
新町川
0.9
0.7
1
1.4
1.1
2.3
1.7
2.4
0.5
1
西馬音内川
0.8
0.8
1.6
1.6
2.2
1.7
2.9
2.8
1.1
2.5
大戸川
1.1
0.6
0.8
1.5
1.3
2.4
1.9
2.5
1.3
1.5

※清流と呼ばれる川のBOD値は0.5mg/リットル以下といわれている。
※BOD値の環境基準は2.0mg/リットル以下。
※数値は、羽後町生活環境課水質検査資料参照。

簡単にできる水質チェック
〜川に住む生き物で水質がわかる〜
 川のきれい度は、そこに住む水生生物で大体わかるということ知ってますか。
大まかに水質を「きれい」「少し汚い」「汚い」「大変汚い」と分けた場合、「きれい」に住む生物は「サワガニ」「カワゲラ」など。「少し汚い」は「カワニナ」「ゲンジボタルの幼虫」。「汚い」は「タニシ」「ヒル」「ミズカマキリ」など。「大変汚い」は「アメリカザリガニ」「サカマキガイ」などが代表的です。
生き物で近くの川や水路の水質を調べてみてはいかがでしょう。

大戸川「新田畑橋付近」 新町川「雄物川合流付近」 石沢川「猿子沢入口付近」
大戸川「新田畑橋付近」 新町川「雄物川合流付近」 石沢川「猿子沢入口付近」
雄物川「大久保頭首工」 5月24日撮影
田植えが真最中
西馬音内川「雄物川合流付近」
雄物川「大久保頭首工」   西馬音内川「雄物川合流付近」

 

水質浄化の取組み
羽後町建設課 藤原完治課長きれいな環境を次世代に!下水道への加入、ご協力願います。
羽後町建設課 藤原完治課長
 近年、生活様式の多様化に伴い各家庭からの排水が河川等の水質を悪化させ、自然環境への影響が心配されていることから、建設課では、生活環境の整備や水質浄化の向上を目指して、下水道事業を実施しています。
 下水道事業は、平成6年床舞地区の工事着手を皮切りに、土舘・西馬音内の浄化センターを整備、平成18年度末現在で三つの処理区あわせて約1,900世帯がすでに利用可能となっています。西馬音内処理区は平成32年の完成をめざし計画をすすめていますが、今年度から新たに土舘処理区(嶋田・下川原)でも管路工事に着手いたします。これら計画が完了いたしますと、町の世帯数の58%にあたる約3,100の世帯が下水道に加入できる条件が整い、河川や水路の水質浄化に大きな成果が上がるものと期待しています。
 私たちの暮らす羽後町は一級河川雄物川の最上流部に位置し、恵まれた自然と豊かな歴史や文化の中で発展してきました。この豊かな自然と水環境を守り、快適でうるおいのある生活環境を次の世代に引き継ぐため、下水道の整備は欠くことのできない大きな事業であり、みなさまの下水道事業への積極的な加入をお願いいたします。

西馬音内浄化センター 土舘浄化センター 床舞浄化センター
西馬音内浄化センター 土舘浄化センター 床舞浄化センター


羽後町生活環境課環境保全担当 鈴木章主幹合併処理浄化槽設置を奨励、助成します。
羽後町生活環境課環境保全担当 鈴木章主幹
農業集落排水事業・公共下水道事業の計画に歩調を合わせ、計画の対象外の地域を中心に、合併処理浄化槽の普及に努めています。平成5年から設置者に経費助成を開始、平成18年度は23基、通算524基の浄化槽を設置しています。また、町内4河川6カ所で水質検査を実施、水質汚濁の監視を実施しています。その結果、BOD(生物化学的酸素要求量)やSS(浮遊物質量)は各河川とも国が定める環境基準をほぼ満たしています。しかし、主に動物(家畜)の屎尿の流入が原因と思われる大腸菌群の量は、環境基準の約40倍(平成17年調査地点平均)に達しており、水質保全の重要項目として今後も河川の監視活動を強めていきます。


羽後町土地改良区維持管理課 奥山賢次課長 きれいな農業用水を。
羽後町土地改良区維持管理課 奥山賢次課長
土地改良区で整備した農道や水路は、近年農業者の高齢化や人手不足などによりきめ細やかな維持管理が難しくなってきました。国・県では農地などの荒廃を防止する目的で「農地・水・環境保全向上対策」を実施しています。昨年は嶋田新田地区が国のモデル地区に指定され、対策事業の検証を行いました。そして今年は町内43地区2,596haで事業が実施されます。今春設立された各集落の活動組織の管理指導を行っていますが、この事業を契機に、様々な研究を行い地域の方々と協調しながら良好な農村環境を作っていきたいと考えています。特に、関係する人々の心の絆を大切にし、居心地の良い集落ときれいな農業用水の実現に向け活動していきます。  


稚魚を放流 雄物川上流漁業協同組合
雄物川上流漁業協同組合は、町内外454名の組合員を擁し、鵜の巣から湯沢市高松川との合流点までの雄物川と西馬音内川を中心とした町内中小河川(田代仙道地区の河川を除く)を管轄し、主に水産資源の管理増殖や漁場の環境管理を行う組合で、毎年放流事業を行う。昨年度は管内河川8カ所で、あゆ220kg・ヤマメ15,000尾・鯉100kgの稚魚を放流した。
長年組合長を務める坂田信栄さん(掵ノ上)に、組合事業や水環境やについて話を聞いた。

雄物川上流漁業協同組合代表理事 坂田信栄組合長
川の生態系回復を願う!
雄物川上流漁業協同組合代表理事 坂田信栄組合長
これまで漁協としては、魚の稚魚放流や排水で河川に影響を与える事業者への水質保全の喚起など、漁場を良好な環境に保全する活動を続けてきました。
最近ですが、雄物川の水質は、以前と比べきれいになっていると考えています。組合員から「久しく姿を見かけなかったタナゴ・スナメグリ・カジカなど、本来清流域に生息する魚類が増えている」という報告が数多くあるからです。特にカジカの生息域はだいぶ広がってきたことは、私も確認しています。
水質が良くなった大きな要因は、湯沢市や羽後町の生活排水の浄化施設(浄化センター)が整備され、河川へ流入する汚水の量が抑制された結果と考えられます。
いま環境破壊に関するニュースが地球規模で報じられ、人類はその対策を必死に模索し環境の回復を願っている状況ですが、私も河川の水質がきれいになり、昔の生態系が回復することを願っています。
 

 

 

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