1.羽後町の現状と課題
新しいまちづくりを進めるにあたっては、まず、町の現状や特性を再確認し、活用、発展させるべき町の特性として整理する必要があります。町の現状と特性は言い換えればそのまま町の持つ特有の「地域資源」であり、羽後町と羽後町らしさを作りあげている根幹です。
まちづくりを進めるにあたって、羽後町の基本的資源として活用していくべき特性は次のとおりです。
@ 秋田県の南に位置する自然豊かな町
本町は県の南部に位置し、総面積230.75I 、東西約19.0H、南北約19.5Hの略正方形をなし、町全体面積の69.3%を山林原野、19.7%を農用地が占めています。地形は、雄物川水系に属する東部地域と、子吉川水系に属する西部地域に大きく分けられ、標高は東部地域が60〜100mで典型的な扇状地を形成し、水稲を主に栽培する豊かな穀倉地帯であり、200〜350mの西部地域は出羽丘陵八塩山塊に属する山間、高原地帯となっています。年間平均気温は約11℃(最高気温34℃、最低気温−13℃)、年間降水量は1,400@で、東部地域と西部地域は、地形的条件から東部平坦地域は盆地気象、西部山間地域は山地気象となり、気温で約3℃、降水量も約500@の差があります。降水量に大きな差があるのは降雪量によるもので、積雪量は東部平坦地域で1mを超え、西部山間地域では2〜3mに達し、県内でも最多積雪地帯であり、特別豪雪地帯に指定されている厳しい自然条件ですが、緑が多く残る自然豊かな町です。
これらの豊かな自然は、多くの人々にいこいと安らぎを与える貴重な財産であり、今後ともこの保全に十分な配慮を払いながら、自然と調和のとれたまちづくりを進めていく必要があります。
A 農業生産基盤が整備された農業の町
本町一帯は古くから居住地として開けた地帯であると見られ、後期旧石器時代の石器が出土し、縄文から古代までを中心とする多くの遺跡も散在するなど、既に1〜2万年前から人々が生活を営んでいたものと推定されています。
扇状地である平坦地域は稲作に適した地形であり、伝統的に農業を中心に発展してきていますが、昭和46年から農業生産基盤の一層の整備のため大規模圃場整備事業に着手し、大型農業機械の導入を可能にする圃場の整備に全町地域を対象として取り組み、生産基盤の整備を概ね完了しています。
B 自立によって特徴あるまちづくりができる程よい広さの町
現在の羽後町の姿は、昭和30年に全国的に推進された市町村合併によりそれまでの1町6村が一緒になって作り上げた枠組みです。昭和の合併時、新たな自治体を作り上げる目安とされた8千人を大きく超え、その4倍近い人口を擁する町として生ま
れました。
以後50年、新たな枠組みの中で地域差を解消し、羽後町民としての一体感を醸成しながら、町の発展と住民福祉の向上に努力を重ねて今日の羽後町の姿を作り上げてきました。ところが、ここ数年急激に悪化した国と地方の財政事情や地方分権の推進により、新たな自治体の枠組みを模索する「市町村合併」が大きく取り上げられ、羽後町もその渦中に置かれました。
しかし、町と議会は新たな枠組みの中には加わらず、これまでの羽後町の枠組みのまま進むことを決めました。これまで努力を重ねて築き上げてきた「羽後町」としての枠組みが住民の一体感を共有できる範囲であり、合併による新たな枠組みの中で地域が埋没する懸念が払拭できなかったからです。あまり大きな範囲を抱えたのでは小回りも、必要なときに直ちに切れる舵取りも難しく、自治体としては丁度よい大きさであると考えます。
こうした特性を生かして、一人ひとりの顔が見え、より多くの民意が反映できるまちづくりを進めていく必要があります。
C 自然と伝統文化が融和するまち
古くから先人が住み、暮らしてきた地域であることから、様々な文化も育まれてきました。重要無形民俗文化財である西馬音内盆踊りや仙道番楽などの伝統芸能、歴史を伝える三輪神社をはじめとする文化財など、人々が営んできた歴史を脈々と伝える多くの文化遺産があります。
価値観が多様化している今は、物質的に豊かになることだけを幸せの基準とせず、ゆとりと心の豊かさを真の幸せであると考える人も多くいます。
豊かな自然の中で、豊かな心を育むまちづくりを進める必要があります。